top of page

シルバー人材センターにおける認知機能低下会員への就業支援
~共生社会を先導する現場の「共働・共助」の実態調査~

シルバー人材センターが直面する認知症の二つの側面

65歳以上の約12〜16%(約8人に1人)が認知症を抱えており、

前段階の軽度認知障害(MCI)を含めると約3人に1人が該当するとされています。
今後、認知症有病者数は2030年には523万人、軽度認知機能障害と合わせ1千万人に達すると推計されています。

こうしたなか、シルバー人材センターは認知症にどう関心を寄せてきたでしょう。

第1には、認知症が疑われる会員による事故の問題です。
認知症には、本人の病識(病気の自覚)の乏しさがあり、自分の症状を周囲の方が感ずるより軽く見る傾向があります。
このため、どのタイミングでどういう声掛けをして、仕事から離れてもらうかが悩みの種になっています。

 

第2には、認知症予防というポジティブな側面への関心です。

「いきいき働いて認知症や要介護を予防しよう」という会員募集もよく目にします。アクティブシニアを標ぼうするセンターにおいて健康増進が前面に立つのは、自然なことでしょう。

65歳以上の高齢者における認知症の現状
​(令和4年(2022年)時点の推計値)

政府広報オンライン 2025年1月16日
「知っておきたい認知症の基本」

健康維持の先にある、「排除しない」共生社会への転換

しかし、加齢が進むにつれ、心身の機能や認知機能が少しずつ衰えていくことも事実です。健康で活動的な状態の維持に価値を置きすぎると、そこから外れていく人たちを「敗者」として差別することにつながる危険があります。

2023年「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が成立しました。

認知症の有無にかかわらず、共に基本的人権を持ち、互いに尊重し支え合う共生の社会を目指すことをあらためて宣言したものです。
こうした理念を念頭に置き、共に働く会員が認知症になった際にどう向き合うのかが問われています。
これまでは、認知症の人を地域で見守る体制の整備に力が注がれてきましたが、今後は社会の一員として役割を担うことを支援する社会への転換が求められます。

スクリーンショット_2026-03-10_9.43.30-removebg-preview.png

現場の「共働・共助」が育む、社会参加を支える小さな工夫

私たちは、シルバー人材センターに共生社会を先導する大きなポテンシャルを備えていると考えています。理由は、就業現場で認知機能が低下した会員への自発的な支え合いがすでに行われているからです。
 

具体的な事例では、就業の日時や場所を忘れがちな会員への前日の声かけや近所の会員の迎え等のフォローが行われています。また、判断力低下による作業手順への不安にはペア就業や補助的作業(道具の出し入れなど)への転換が行われています。現場での小さな工夫で、認知機能が低下した会員でも就業が継続でき、社会参加の機会が失わずにいられます(図)。
 

これらは、特別なことではなく、共働・共助という土壌によって生み出されている日常的な風景に映っているかもしれません。
しかし、共生社会といった新しい理念の定着には、目に見える実践活動が欠かせません。シルバー人材センターの地域社会への新しい貢献として注目していきたいと思います。

スクリーンショット_2026-03-10_9.42.02-removebg-preview.png

全国調査データの活用による「就業支援」の科学的解明

こうしたなか、公益社団法人全国シルバー人材センター事業協会は、令和7年度事業として「認知機能が低下した会員の就業支援等に関する調査研究」を企画し、ダイヤ財団が研究実務を受託しました。
 

この研究事業では、2022年~2024年に実施された全国調査データを活用して、認知機能が低下した会員の実態(該当割合・就業状況・負担とやりがい等)および2年後の就業の継続状況を明らかにするものです。

全国シルバー人材センター事業協会からの発信される研究成果に期待してください。

【お問い合わせ先】

公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団研究部

〒160-0022 東京都新宿区新宿1-34-5 VERDE VISTA 新宿御苑 3F

プロジェクト責任者:石橋智昭

© 2026 ダイヤ高齢社会研究財団  シルバー人材センター見える化プロジェクト

bottom of page